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【植田益朗の『未ル』制作日記】異能との出会いとプロデューサーとしての無念
2022年からヤンマーアニメプロジェクトに関わり始め、最初の関わりはプロジェクトのアドバイザーであった。そして、現実的なミッションとしては、アニメスタジオ探しであった。
昨今のアニメ状況の中、スタジオ探しは困難を極めた。
そんな中、2023年の夏ロスでのアニメエキスポでのプロジェクトの発表をしたいという連絡を受けた。
スタジオが確定しない、そんな状況が続く中ようやく1か所やってくれそうなスタジオが出てきた。一方、自分以外のプロデューサーチームは7月の発表に向け、ビジュアル作成の準備に取り掛かっていた。
アニメ制作は、たくさんの人間の力を結集して作られる。
予算と、スケジュールと求められているクオリティー、それらを総合して作られていく。そこにスタジオのノウハウと、スタッフの力量が。
スタジオの能力を最大限に生かすのは、やはりゼロベースからスタジオの参画が成功への道筋だ。アサイン直前のスタジオは、新しいアニメエキスポ用キービジュアルを見てビビった。
あのビジュアルを基本に作らねばならないのか?制作チームにプレッシャーがかかっていた。自分もそのビジュアルを見た時、これは素晴らしい!と思った。いまどきのLook、攻撃的な構図、一方プロジェクトの持っているチャレンジスピリットを感じた。
と同時にこのビジュアルのイメージをどこまで落とすことなく作れるのか?現場は大変だろうと思った。
その才能あふれるクリエイターは、YKBX氏と紹介された。
その才能は今後アニメ界を牽引してくれる可能性も秘めていた。自分もそう感じた。案の定、想定スタジオからは泣きが入った。
自分達が一からキャラクターを作りたい、現在のキービジュアル用キャラ参考として使いたいと。ようやくアサインできそうなスタジオが現れてこのスタジオを外して、本プロジェクトを進められる気がしなかった。
自分もアニメスタジオを持っているわけではない。残念であったが、スタジオの意向を第一に考えキャラクターを改めることになった。
クライアントのヤンマーさんも、YKBX氏の仕事を気に入ってくれていた。
それはその後、度あるごとに、YKBX氏のキャラクターキービジュアル、ロボットMIRUデザインのリファイン化にたいしても参考してほしいという申し入れがあったのである。
プロデューサーとしてはこの才能のあるクリエイターと映像を作っていきたいと思ったがその時には、自分にリソースが無かった。
非常に無念であった。
今回の『未ル』プロジェクトの底流には、YKBX氏のクエリエイティブマインドが底流に流れている。
ここまでその後の『未ル』アニメプロジェクトの進捗を見るにつけそれを感じている自分がいる。
そして、これからまだまだ続くであろう『未ル』アニメプロジェクトのいずれかで、YKBX氏の名前が出てくることは間違いないであろう。
私がプロデューサーである限りは、絶対のその場を創り出す所存だ。
これが私が、最初に感じたYKBX氏への才能への返礼でもある。
『未ル わたしのみらい』
総合プロデューサー
植田益朗